出演者を一つにした濱口メソッド=映画「急に具合が悪くなる」―カンヌ映画祭

2026/05/24 09:12配信【時事通信社】

 第79回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門で、主演2人が女優賞に輝いた「急に具合が悪くなる」。濱口竜介監督にとって初の海外ロケ作品で、フランス人の役者が多数登場し、盛んにフランス語が交わされる。そんな国際的な現場でも、台本の読み合わせを何度も繰り返す「濱口メソッド」は健在で、それが出演者の心を一つにした。 パリ郊外の介護施設でディレクターとして働くマリー・ルーと、がんを患う演出家の真理が偶然出会い、絆を深めていく物語。2人の会話には日仏両言語が混在し、濱口監督は「多言語的な状況は非常に撮影を難しくするが、一方で俳優の集中力を非常に高めるものではと期待して撮影した。俳優さんは本当に大変だったと思う」と話す。 マリー・ルー役のビルジニー・エフィラさんは「濱口監督はカメラに映らないところで人と人の間に流れているものこそが重要で、それが映像に現れると考えていると感じた」と振り返る。真理役の岡本多緒さんは、リハーサル重視の濱口メソッドで「母語ではない言語が体に染み付いた状態で現場に臨める状態を作っていただいた」と語る。 哲学者の宮野真生子さん(故人)と人類学者の磯野真穂さんが病や命について交わした往復書簡を収めた共著が原作。着想から5年の歳月を費やした。難しい作業を可能にしたのは、濱口監督の物語に注ぐ熱意だ。「私が本を読んで得た、体が震えるような感動を、映画の観客にも持ってほしい。考えていたのはその1点だけ」と強調する。 「人と人が言葉を介してここまで深いものになれるということを表現したかった」。監督の思いは、3時間16分の映画に過不足なく収まっている。 


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